「オールド・オーク」を見て 2026年6月1日
- 6月1日
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先日、都内の映画館で、ケン・ローチ監督の新作「オールド・オーク」を見る機会を得た。舞台は英国のさびれた炭鉱町。空き家や空き店舗も多い。町にはシリアからの難民が次々に移り住んでいる。もとからの住民はシリア人らを遠巻きにし、外見や風習を隠語でののしり、時には直接、罵倒言語を発する。子供同士のいじめも露骨に起きる。名匠ローチ氏が地元住民とシリア難民たちの関係を目のあたりにし、希望を持つことの難しさと尊さを描いたヒューマンドラマである。
世界でも日本でも似た状況が生まれている。映画内のせりふの中にこんなやり取りがあった。「人は苦しい時に下を見て身代わりを探す。弱者の顔を踏みつける方が楽だからだ」(和訳スーパー)。
当社では、2018年に定期雇用で、シリア人のインターシップS君をお預かりしたことがあった。S君はダマスカス大学で日本語を学び、トルコ経由、欧州諸国経由で日本に入国した難民として事務職に従事した。シリア紛争は、2011年の中東の「アラブの春」の波及を受け、政府軍と反体制派の武力衝突から始まる。ロシアやイランがアサド政権を支援し、トルコやアメリカの反体制派と、一部のアラブ諸国が支援し「代理戦争」として、国内でも話題となってきた。その後、過激派組織「ISIL」の台頭により、多国籍軍による空爆による民族への被害は甚大で、その登録難民数は370万人を超える(2026年3月UNHCR)。
S君の従兄は、政府軍に徴兵され、武力衝突の銃撃戦参戦従軍の際に、空砲によって殺傷のポーズをしていたのが上官にバレ、軍事裁判で銃殺されたという。実弟は、トルコの先で生き別れとなったそうだ。
日本には、生活保護法において、外国人を対象から外しつつも「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和29年5月8日社発第382号厚生省社会局長通知)によって、生活に困窮する外国人は法による保護等に準ずる取扱いを受けることが決められている。一方で、トップクラスの大手金融機関は、30-40代の外国人の採用には、極めて慎重である。小職が海外駐在中には、多くの邦人が欧米企業にVISA発給のサポートを受けつつ、業務研修に機会を与えられ、人員不足を補っていた。今の本邦企業の経営者は、外国人を雇用し、就労訓練を受けさせ、会社収益に貢献させるマネージメントスキルを学んでいないがために、適材適所の人材が採用できていないで嘆いている。
このジレンマを解消するには、一日も早く「弱者の顔を踏みつけない」賢明なマネージャーを高校・大学から、育成する必要があるのではないか。


